2023-07-23
任意売却で不動産を売却する場合、抵当権の抹消手続きが必要です。
債権者が複数いる場合、抵当権を抹消するためには、後順位抵当権者からの協力が欠かせません。
そこで着目したいのがハンコ代です。
今回は任意売却におけるハンコ代とはなにか、相場や発生する方としない方の違いを解説します。
愛知県稲沢市で、不動産の任意売却を検討されている方はぜひ参考になさってください。
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まずは、任意売却におけるハンコ代とはなにか、概要を解説します。
ハンコ代とは、任意売却で配当を得られない、後順位抵当権者に支払う費用のことです。
ひとつの不動産に複数の債権者がいるとき、ハンコ代の支払いによって、抵当権を抹消してもらうのが主な目的となります。
土地や建物などの不動産を売却する場合、すべての抵当権を抹消しなければなりません。
抵当権を抹消するためには、債権者からのハンコが必要になるので、ハンコ代と呼ばれています。
ちなみに抵当権とは、債権者が不動産を担保にする権利のことです。
返済不可となった際、債権者(お金を貸した方)である金融機関が不動産を売却し、債権を回収します。
そのため、ハンコ代は担保解除料や担保抹消料と呼ばれることも多いです。
後順位抵当権者とは、不動産に複数の抵当権者がいる場合、2番目以降に債権を回収できる権利を持つ方です。
不動産売却時、土地や建物に複数の抵当権が設定されていることがあります。
しかし、任意売却で債権を回収できるのは、第1抵当権者のみになるのが一般的です。
たとえば、第1抵当権者が住宅ローンの債権者、第2抵当権者が金融機関、第3抵当権者が貸金業者だったケースで考えてみましょう。
住宅ローンの債権者が2,000万円、金融機関が1,000万円、貸金業者が500万円の抵当権を設定していたとします。
債権者全員に配当が回るためには、土地や建物を3,500万円以上で売却することが条件です。
もし、2,000万円で売却した場合、債権を回収できるのは第1抵当権者のみとなり、第2抵当権者以降は配当を得られないことになります。
上記のようなケースがほとんどのため、第2抵当権者や第3抵当権者は、抵当権の抹消に協力してもあまりメリットがありません。
抵当権を抹消しないと不動産を売却できず、競売の手続きに進むことになります。
競売は任意売却とは異なり、強制的に不動産が売却されるうえ、ほかの不動産より安く売却されるのが一般的です。
安く売却することになれば、その分債権を多く回収できないため、第1抵当権者としても任意売却で売却したいと考えます。
そのため、ハンコ代(担保解除料や担保抹消料)としてお金を支払い、抵当権の抹消に協力してもらうのです。
ハンコ代は、任意売却で恩恵を受ける債権者からの、第2抵当権者や第3抵当権者に対する配分を意味しています。
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続いて、任意売却におけるハンコ代の相場を解説します。
ハンコ代には、実は相場がありません。
それぞれの抵当権者と話合い、金額を決めていきます。
とは言え、高額なお金を支払う必要はありません。
後順位抵当権者は、任意売却によって得た売却代金を受け取れないのが一般的だからです。
多くのケースで、そのような事情を理解したうえで、後順位抵当権者は抵当権を設定しています。
競売になってしまうと1円も回収できないため、ハンコ代をもらい、抵当権の解除に協力したほうがお得と言うことです。
「高額なハンコ代を支払わないと、協力しない!」と言われたとしても、競売で損することになるので、最終的には妥当な金額で決定するのが一般的と言えます。
任意売却で配当を得られない債権者がいる場合、全員にハンコ代を支払わなくてはなりません。
しかし、ハンコ代には相場がないため、トラブルになるケースも多いです。
そのため、住宅金融支援機構では、下記のとおり一定の基準を示しています。
このように、債権者には順位があり、高いほうが支払う金額も多くなります。
ただし、それぞれから借り入れている金額の残債の1割と、上記の金額を比べて低いほうが適用されます。
物件の売却金額が考慮されていないため、数億円で不動産が売れたとしても、ハンコ代は最大で30万円になると言うのが一般的な考えです。
ただし、あくまでも目安となる相場なので、場合によっては上記より高い金額となるケースもあります。
また、その他の金融機関においても、住宅金融支援機構の金額を基準していることが多いです。
後順位抵当権者から、ハンコ代の値上げを要求されることがあります。
「これでは足りない!」「もっと支払ってほしい!」などと言われ、要求に応じてしまうケースも多いです。
しかし、先述したとおり、ハンコ代に対して高額なお金を支払う必要はありません。
個人の方がハンコ代の交渉に出くわす場面は少ないため、トラブルを避けるためにも、まずは不動産会社に相談することをおすすめします。
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最後に、任意売却でハンコ代が発生するケースと、しないケースを解説します。
ハンコ代が発生するケースは、下記のとおりです。
発生するケースとしてまず挙げられるのが、複数の債権者がいる場合です。
先述したとおり、第1抵当権者以降、第2抵当権者や第3抵当権者がいる不動産を任意売却する場合、ハンコ代が発生する可能性があります。
また、複数の債権者がいて、かつ債権の合計額以上で任意売却できない場合も、ハンコ代が発生する可能性が高いです。
債権の合計額以上で任意売却できるケースは少ないため、複数の債権者がいる場合、ハンコ代の発生は必須と言えるでしょう。
ハンコ代が発生しないケースは、下記のとおりです。
債権者が1人であれば、債権者同士で配当について話合う必要がなく、トラブルになることはほとんどありません。
売却で得たお金は債権者に全額渡したり、引っ越し代として1部をもらったりすることもできます。
万が一債権の合計額を下回ってしまった場合も、どのように残債を返済していくのか、相談のうえ決定することが可能です。
また、複数の債権者がいたとしても、債権の合計額以上で任意売却できる場合、ハンコ代は発生しません。
配分を巡ってトラブルになる可能性が低いからです。
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ハンコ代は、任意売却する不動産に、複数の債権者がいる場合に必要となります。
相場はなく、当事者同士で話合って金額を決めるのが一般的です。
任意売却はとにかくスピード感が大切なので、後順位抵当権者がいる場合は、ハンコ代についての基礎知識を押さえておくと安心です。
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