2025-06-24
土地を売却する際、境界が不明確なままでは、土地売却時に手続きが滞ったり、思わぬトラブルを招くおそれがあります。
そこで活用されるのが地籍調査ですが、これは自治体が計画的に実施するもので、すぐには対応できないのが現状です。
そのため、売却を急ぐ場合は、個人で測量を行い、境界を確定しておくことが重要になります。
この記事では、地籍調査の概要に加え、境界未確定時における不動産売却への影響やリスク、デジタル地籍調査についてもご紹介します。
デジタル地籍調査とは、これまで人の手で行われていた地籍調査を、ICTやAIなどの先進技術によって大幅に効率化・高度化した新しい調査手法です。
政府は、2025年度までに地籍調査の進捗を大きく加速させる方針を掲げており、さまざまな分野でデジタル技術の導入を積極的に進めています。
特に注目されているのが、「航測法」や「GNSS(衛星測位)測量」などのリモートセンシング技術です。
これらを活用することで、これまで現地に立ち会って行っていた測量作業の多くが、空中からの写真やレーザーデータによって代替可能になりました。
また、GNSS測量の精度も向上しており、電子基準点のみを基準にして行う「地籍図根三角測量」や、センチメートル単位での測位が可能なCLAS(高精度衛星測位サービス)を活用することで、携帯電波の届かない場所でも正確な測量ができるようになっています。
さらに、河川や海岸部では、水中を透過するグリーンレーザーを搭載したドローンによって、陸と水を同時に測量することも可能になりました。
加えて、調査に関わる事務処理のデジタル化も進行中です。
たとえば、AI-OCRやGISの技術を用いて紙ベースの調書を電子化し、検査作業の自動化に取り組んでいたり、クラウド型の認証管理システムを活用することで、認証申請の処理期間を3分の1に短縮したりしています。
また、地籍情報のオープンデータ化も着実に進んでいます。
令和5年からは、登記所に備え付けられている地図データがG空間情報センターを通じて一般に無料で公開されるようになりました。
こうした情報は、自治体の統合型GISシステムに活用され、農業振興や固定資産税の基礎データ、大規模災害からの復興計画にも役立てられています。
このように、デジタル地籍調査は、従来の人手による作業からリモートセンシングとAIを活用した自動化へと大きく進化しています。
特に、高齢化や所有者不明土地の増加といった社会的課題が深刻化する中で、こうした技術の導入は、地籍調査を加速させる鍵となっています。
そんな現代の技術で進化している「地籍調査(ちせきちょうさ)」はどのような調査かというと、土地の正確な情報を把握するために、国や自治体が実施している調査です。
具体的には、土地を一筆ごとに区切り、「どこからどこまでが誰の所有になるのか」「どんな用途の土地なのか」といった情報を調べて、地籍図や地籍簿として記録に残します。
この調査が行われることで、境界の位置や土地の面積が明確になり、将来的な売却や相続、建築の際にも安心して手続きを進められるようになります。
そして、日本の地籍調査の進捗状況を見てみると、令和5年度末時点で、全国の調査進捗率は約53%にとどまっているのが現状です。
また、優先的に実施されている一部の地域では80%以上に達しているものの、地籍調査が始まった昭和26年からすでに70年以上が経過していることを考えると、全国的にはまだ約半数の地域で調査が完了していないことになります。
こうした背景には、「公図(こうず)」という古い図面の存在があります。
公図とは、明治時代の地租改正をもとに作られた地図で、当時の測量技術や資料の精度に限界があったため、現在の土地の形や位置と実際にズレているケースが少なくありません。
実際、登記所に備え付けられている地図や図面のうち、約半数がこうした古い公図をもとにしたものだとされています。
そのため、「このブロック塀があるからここまでが自分の土地だと思っていたけど、違っていた」というようなケースも起こり得るので注意が必要です。
境界が未確定な土地でも、法律上は売却することが可能です。
しかし、実際には買い手が見つかりにくく、売却活動が長期化したり、価格が大きく下落してしまうのが現実です。
なかでも、住宅ローンが利用できないという点は、売却を阻む最大の要因です。
というのも、多くの金融機関は、境界が未確定な土地を「トラブルのリスクが高い物件」とみなし、担保価値を著しく低く評価してしまうからです。
その結果、住宅ローンを前提として購入を検討する一般の買主には、選ばれにくくなってしまいます。
また、境界が不明確なまま土地を購入すると、将来的に隣地との境界争いに巻き込まれるリスクがあります。
このようなトラブルを避けたい買主にとって、境界未確定の土地は敬遠されやすくなります。
さらに、仮に売買契約が成立したとしても、重要事項説明で境界が未確定であることを十分に説明しなかった場合には、契約不履行として損害賠償を求められる可能性もあるため注意が必要です。
加えて、境界が未確定の土地には、次のような制約が生じます。
・分筆ができず、土地の一部だけを売ることが困難になる
・合筆が原則としてできない
・地積更正や地目変更ができないため、正確な面積の確定が難しい
・抵当権の設定が困難になる
・建築確認申請に支障が出る場合がある
このように、境界が未確定であることによって、売却価格が大きく下がったり、取引自体が成立しなくなることもあります。
結果として、「希望価格から大きく下げて不動産業者に買い取ってもらう」「買い手が現れず長期間売れ残る」といった事態に陥ることも少なくありません。
したがって、こうしたトラブルや制約を回避するためには、売却前に境界を明確にしておくことが非常に重要です。
▼境界について詳しく知りたい方はこちら▼
「土地の境界を確認する方法とは?相続・売却時のトラブルを防ぐ基礎知識」
まとめ
境界が不明確なままでは、売却価格の下落や契約トラブルの原因になりかねません。
デジタル地籍調査の活用や専門家の測量によって、早期にリスクを解消できます。
「売れる土地」にするために、今すぐ境界の確認を始めましょう。
ただし、地籍調査は行政主導で進められる取り組みですが、調査が未実施の地域では、売却前に個人で境界を確認する作業が必要になることもあります。
そのため不安な方は、お気軽に弊社にお問い合わせください。
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