- 「手前が農地、奥が既存宅地」という特殊な状況でも、家は建てられる可能性がある
- クリアすべき壁は「接道義務(建築基準法)」と「農地転用(農地法)」の2つ
- 手前の農地に「必要最小限の通路」を確保できれば、奥の既存宅地に建築許可が下りるケースも!
「入り口部分が畑で、その奥にある土地に家を建てたい」
「でも、奥の土地が道路に接していないから建築できないと言われた…」
市街化調整区域における土地の売買や活用において、このようなお悩みを抱えている方は少なくありません。
今回は、一見すると建築が難しそうな「手前が農地、奥が既存宅地」というケースにおいて、どのようなルールがあり、どうすれば家が建てられるのかを、実際の解決事例を交えて分かりやすく解説させていただきます!
「手前が農地、奥が既存宅地」はなぜ家が建てられない?
ご依頼いただく売却のご相談のなかに、「道路面に接している土地の地目が農地、奥が宅地」というケースがあります。宅地部分が道路に接していないのです。
- A:道路に接している土地をAさんがご所有(地目:畑 / 60㎡)
- B:道路に接していない奥の土地をBさんがご所有(地目:既存宅地 / 120㎡)
- C:AさんとBさんの土地をCさんが購入して住宅を建てたい
市街化区域のエリアであれば、なんら問題はないのですが、市街化調整区域の場合は少し話が変わってきます。
市街化調整区域については、こちらの記事で詳しく解説しておりますのでご参照ください。
話を難しくしている原因は以下の2点です。
- 接道義務:建築物を建築するには、建築基準法上の道路に2m以上接していなければならない。
- 農地法:農地を農地以外に転用し取得するには、農地法第5条の許可が必要。
今回ご紹介するケースでは、以下の要素が絡み合っていました。
- 既存宅地部分が道路に接しておらず、建築基準法第43条により接道義務を果たしていないので建築ができない。
- 道路と接するには買主様が農地部分も購入しないといけないが、農地のため農地法第5条の許可が必要。
少しハードルが高そうですね…。
しかし、決して建築が不可能というわけではありません。ここからは、この2つのハードルをどのように乗り越えるのか、具体的なルールや措置について分かりやすく解説していきます。
「接道義務」とは?道路がないと家は建てられない
「接道義務」という用語を、お聞きになられたことはございますか?
建築基準法第43条の規定により、建物の敷地が建築基準法上の道路に2m(ないし3m)以上接していなければ建築できません。
これは、火災が発生した時の避難経路や、生活環境を維持することを目的としています。
接道義務は、都市計画区域と準都市計画域内では義務付けられていますが、、都市計画決定がなされていない区域では接道義務はありません(現実的に道路に接していない土地で建築ができるかは別として…)。
接道義務は1950年以降のルール
接道義務は、建築基準法が施行された1950(昭和25)年から定められているルールです。
そのため、それ以前に建てられた古い家屋などでは、現在の基準を満たしていないケース(再建築不可)も珍しくありません。
愛知県の「路地状敷地」に関する制限
愛知県では、路地状敷地(旗竿地・袋地)の場合、愛知県建築基準条例第6条によりもう少し制限があります。
大規模建築物、特殊建築物は除きます。
路地状部分の長さによって、以下の通り必要な幅が定められています。
| 路地状部分の長さ | 路地状部分の必要な幅 |
|---|---|
| 15m未満 | 2m以上 |
| 15m以上~ 25m未満 |
2.5m以上 |
| 25m以上 | 3m以上 |
いずれにしても、稲沢市では最低2m(路地状敷地の場合は最大3m)以上、道路と接していない場合は住宅の建築ができません。
注意ポイント!
路地状敷地の接道義務で、注意すべきポイントは以下の2点です。
-
隅切り部分は、路地状部分の幅には含まない。
隅切りを含めた幅が2mではNGということになります。 -
路地状部分の幅は、路地状部分の中で一番狭いところが上記基準を満たさないといけない。
入口が基準を満たしていても、奥が基準を満たしていなければNGということになります。通路部分の一番狭いところが基準を満たしていないとダメなのです。
建築基準法上の道路とは?
接道義務は「建築基準法上の道路」に接していないといけませんが、建築基準法上の道路には以下のものがあります。
- 1項1号道路…道路法の道路(国道・県道・市道等)で幅員4m以上の道路
- 1項2号道路…都市計画法や土地区画整理法などによって造られた道路で幅員4m以上の道路
- 1項3号道路…建築基準法施行時に幅員4m以上あった道路
- 1項4号道路…道路法、都市計画法などで事業計画がある幅員4m以上の道路で、2年以内に事業が施行される予定のものとして特定行政業が指定した道路
- 1項5号道路…位置指定道路
建築基準法施行時、すでに建築物が立ち並んでいる幅員4m未満の道(※)で、特定行政庁の指定した道路は、その中心線から2m後退(セットバック)することにより建築基準法上の道路とみなされます。
原則として、最低でも1.8m以上の幅があることが条件です。
ご自身の敷地の前面道路が建築基準法上の道路に該当するかは、私たち㈱不動産トータルサポートにご相談いただけましたら、行政にて調査いたします。お気軽にご連絡ください。
「農地法」の壁!許可がないと農地を宅地にできない
市街化調整区域で我々不動産業者の前に大きく立ちはだかるのが「農地法」です。
市街化調整区域では、他人所有の農地(田・畑)を購入(もしくは賃貸)して、農地以外に利用しようとする場合は、農地法第5条の許可が必要です。
そもそも、市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域のこと。建築物の建築は原則できないと定められています。
ですから、農地を非農地に転用するにも妥当な理由が必要なのです。
農地の5つの区分(青地と白地)
農地は5種類に区分されています。立地によって許可基準を設けているのです。
ひとえに農地といっても、市街地に隣接している場所では他の農地に対する影響は少ないでしょうし、見渡す限り田んぼが広がっているエリアにぽつんと、資材置き場として転用した場合も他の農地に対する影響は安易に想定できますよね!
区分としては5種類ですが、第一関門として「青地」と「白地」に区分けされます。
「青地」は農業振興区域とも呼ばれ、農地転用は非常に困難です。「白地」は立地により4種類に区分されます。
転用したい土地が以下のどれに該当するかは、稲沢市役所農務課にて教えていただけます。
A:農用地区域内にある農地(青地)
農振法に基づく農振計画において、農用地として利用すべき土地として定められた区域内にある農地のことです。
▶ 原則許可されません。 許可を取得する場合は、農地転用以外にもう一工程が必要となります(農振除外申請)。
B:甲種農地(白地)
高性能農業機械による営農に適した農地及び土地改良事業完了後8年未満の農地のことです。
▶ 原則許可されません。 ただし、公共性の強い事業の場合は許可される場合があります。
C:第1種農地(白地)
集団的に存在する農地、その他良好な営農条件を備えている農地のことです。
▶ 原則許可されません。 ただし、公共性の強い事業の場合は許可される場合があります。
D:第2種農地(白地)
市街地等に近接する区域、その他市街地化の見込まれる区域内にある農地のことです。
▶ 周辺の他の土地により事業が達成できない場合は許可 となります。
E:第3種農地(白地)
市街地の区域内または市街化の傾向が著しい区域内にある農地のことです。
▶ 原則許可となります。
愛知県独自の「一般基準」にも注意
愛知県では、立地基準に加えて「一般基準」を設けています。立地区分が転用許可がされやすい場所だからといって、どの土地でも許可をするわけにはいかないからです。
立地基準に適合する場合でも、次のいずれかに該当する場合は、許可できません。
-
A:農地を転用して、その用途に供することが確実でない場合
当然のことではありますが、申請通りの目的に利用されない可能性がある場合は許可されません。 -
B:申請する農地の面積が、事業の目的からみて適正でない場合
農地を守るための規制ですから、必要以上の広さを転用することは認められません。 - C:周辺農地の営農条件に支障を及ぼすおそれがある場合
諦めるのは早い!
愛知県独自の救済措置:
必要最小限の道路
ここまで見てきた通り、今回のケースには①「接道義務」の壁と、②「農地法」の壁という2つの大きな問題がありました。
上記①②を踏まえて、いざ、お隣の土地(農地)を取得した場合に、そもそも既存宅地が直接道路に面していない場合に、建築許可は取得できるのでしょうか……?
安心してください!!
愛知県開発審査会基準17号運用基準には下記のように記載されています。
建築基準法第43条第1項の規定による敷地の接道が満たされない場合等においては、 接道のための必要最小限の路地状部分等(原則として、分筆するものとする。)について申請区域に含めることができる。 この場合、路地状部分等については開発審査会基準(以下、「審査会基準」という。)第4項の面積には含めないものする。
つまり、接道のためにやむを得ない必要最小限の通路については、既存宅地でなくても良いのです!!
また、通路部分の必要最小限の幅は先ほど記述した路地状部分の必要幅員に準じます。道路から既存宅地までの距離が25mあれば3mが通路部分として認められます。
【図解】複雑な土地の売買・
建築を成功させた実例
それでは、冒頭でご紹介した複雑な事例について、どのように問題をクリアし、無事に住宅を建築できたのか、具体的なステップを解説させていただきます。
- A:道路に接している土地をAさんがご所有(地目:畑 / 60㎡)
- B:道路に接していない奥の土地をBさんがご所有(地目:既存宅地 / 120㎡)
- C:AさんとBさんの土地をCさんが購入して住宅を建てたい
- AさんとCさん、BさんとCさんにて売買契約締結
- AさんとBさんの土地を確定測量
- Aさんの畑を通路部分(20㎡)とそれ以外の部分(40㎡)に分筆
- Aさんの通路部分を農地転用申請及び、Aさんの通路+Bさんの既存宅地にて建築許可申請
- Aさんの通路以外の部分をCさんの建築後の駐車場用地として農地転用申請
- ステップ4、5の許可が無事受理され、お引き渡し
成功のポイント!
ここでのポイントは、道路に接している土地と接していない土地のご所有者が別々のため、調整が必要だった点です。
また、Aさんとしては「通路以外の土地が売買対象から外れるのは困る」ため、通路以外の土地もCさんにご購入いただく必要がありました。
先述の農地転用許可基準の一般基準Bには、「申請する農地の面積が、事業の目的からみて適正でない場合は不可」とあります。このケースで幸いしたのが、以下の2点でした。
- Aさんの通路以外の面積がそれほど広くない
- Bさんの既存宅地も広くなく、住宅を建築すると駐車場が足りない
通路以外の土地、既存宅地の土地、いずれかが広かった場合は許可されなかった可能性が高いです。現在では、Cさん宅が無事完成し、お住まいになっています。
市街化調整区域や農地に
関するよくある質問
原則住宅は建てられませんが、この記事でご紹介したような一定の条件を満たせば建築可能です。
一方、市街地周辺にある「第2種農地」は、他の土地では目的が達成できないといった特別な理由が無ければ許可が下りにくいです。
まとめ
今回は、市街化調整区域において「手前が農地、奥が既存宅地」の場合の建築や売買について解説させていただきました。最後に大事なポイントを振り返りましょう。
-
住宅を新築するには接道義務をクリアする必要がある愛知県では、最低2m(路地状敷地は最大3m)以上、道路と接している必要があります。
詳しくは 「接道義務」とは?道路がないと家は建てられない をご覧ください。 -
農地に家を建てるには農地転用許可が必要になる農地は5種類に区分されており、立地によって転用の難易度が変わります。青地などは転用が非常に困難です。
詳しくは 「農地法」の壁!許可がないと農地を宅地にできない をご覧ください。 -
「必要最小限の通路」があれば既存宅地でなくてもOK!接道のためにやむを得ない通路部分であれば、愛知県の基準で認められる措置があります。
詳しくは 諦めるのは早い!救済措置「必要最小限の道路」 をご覧ください。
道路に接していない既存宅地であっても、接道義務を果たすための通路部分を確保できれば建築は可能です。また、道路に接する土地が農地の場合であっても、農地転用許可を取得することができる可能性はあります。
農地に囲まれた既存宅地をご所有の場合であっても、売却を諦めず、私たち㈱不動産トータルサポートにお気軽にご相談ください。
稲沢市は市街化調整区域が市全体の約88%を占める非常に特殊なエリア。稲沢市で土地の売買を成功させるには、稲沢市のエリア情報に詳しく市街化調整区域が得意な私たちにご相談いただくことが近道です!!
あわせて読んでほしい!関連記事
画像でわかりやすく解説!Instagramはこちら!!
会社概要
| 商号 | 株式会社不動産トータルサポート |
|---|---|
| 代表者名 | 代表取締役 渡邉 友浩 |
| 所在地 | 愛知県愛西市南河田町高台10-2 |
| 電話番号 | 0567-22-5665 |
| FAX | 0567-22-5670 |
| 定休日 | 毎週水曜日 |
| 営業時間 | 10:00~18:00 |
| 事業内容 | 土地・中古住宅・新築住宅・中古マンションの売買仲介/買取 |
| 得意エリア | 稲沢市・愛西市・あま市・津島市・弥富市を中心とした西尾張全域 |
| URL | //fudosantotalsupport.com/ |

