2023-01-29
夫婦で築いた財産を離婚時に分け合うことを「財産分与」といい、夫婦が暮らしていた家は財産分与の対象になります。
物理的に分割ができない家は、売却によって現金化して分与するケースが多くありますが、なかには夫婦のどちらかが住み続けたいというケースもあるでしょう。
そこで今回は自宅を財産分与する方法や、売却する際の注意点、離婚後もどちらかが住み続ける場合のメリット・デメリットや、その手続き方法をご紹介いたします。
愛知県稲沢市周辺で離婚に伴う不動産の取り扱いにお悩みの方は、ぜひご参考になさってください。
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目次
財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に協力して築いた共有財産を、離婚時に夫婦で分け合うことです。
夫婦で購入した家も、名義がどちらであるかに関係なく財産分与の対象になります。
一般的に、家を財産分与する方法は主に次の2つです。
それぞれの方法をみていきましょう。
①家を売却して現金化し夫婦で分け合う
家を実際に半分にして分け合うことはできません。
そこで家を売却してその代金を夫婦で分け合う方法が、スムーズで平等な財産分与の方法として多く利用されています。
家を売却することで、所有権や住宅ローンといった権利関係も清算することができ、離婚後のトラブルリスクを回避することが可能です。
②家は売らずに評価額を基準に分け合う
もう1つの方法は家を売らずに分け合う方法です。
夫婦のどちらかが住み続けるという場合に、住み続ける方が住まない方へ家の評価額の半分の現金または同等の財産を渡すことで分け合う方法です。
この方法では、住宅ローンの残債がある場合には評価額から残債を差し引いて分配することになります。
家の財産分与は、以下の5つの手順に基づいておこなっていきます。
家を財産分与するには、まず家の名義人の確認が必要です。
多くの場合、夫または妻の単独名義か、夫婦の共有名義のどちらかでしょう。
次に住宅ローンの契約名義とローンの残債、連帯保証人を確認します。
ローン残債によっては財産分与自体ができなくなる可能性もあるため、あいまいにせずに借り入れをしている金融機関へ直接確認しましょう。
そして、家の価値の確認も必要です。
家の価値を調べるには、不動産会社へ査定を依頼すると良いでしょう。
不動産の価値は変動するため、今現在の評価額を基準として財産分与の額が決まってきます。
ただし家の購入資金として親からの援助があった場合には、その額を差し引いて財産分与額を計算しなければなりません。
親からの援助や婚姻前から所有していた財産などは特有財産と呼ばれ、財産分与の対象にはならないからです。
4項目についてすべての確認がとれたら、財産分与の方法について夫婦で話し合いましょう。
家の財産分与額を計算するには、住宅ローンの残債と家の査定額を比較することから始めます。
もし住宅ローンの残債が家の査定額を上回る、いわゆるオーバーローンの状態であれば、不足分を自己資金で補わない限り通常の売却は困難です。
一般的に、オーバーローンの場合には財産分与をせず、ローンの名義人が返済を続けていくケースが多いようです。
これらを踏まえて、共有財産をどのように分け合うのか、どちらかが住み続けるかといったことを夫婦で話し合いましょう。
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財産分与に伴う不動産売却は、贈与税や住宅ローンなども関わってくるため、さまざまなポイントに注意する必要があります。
ここでは離婚時の財産分与で注意すべきポイントを3つ、ご紹介いたします。
離婚による不動産売却では、不動産売却をおこなうタイミングが重要です。
タイミングを間違えると大きな税負担がかかるおそれがあるため、注意しましょう。
離婚成立前に財産分与をすると贈与税の対象になる
夫婦で築いた財産を離婚にともなって分け合うことを財産分与といい、不動産が財産分与の対象になるケースは珍しくありません。
財産分与の方法としては、売却して現金で分割する、売却せず財産分与で定められた金額を相手に支払うなどがあります。
ただし離婚前に財産分与をおこなうと贈与とみなされて贈与税が発生するため、注意が必要です。
たとえば全部の持ち分を夫が持っているマイホームを売却し、妻に売却額の半分を分けたとします。
これを離婚前におこなうと、売却額の半分に対し贈与税が課税され、妻に納税義務が生じます。
これから離婚するという状況では、財産分与として認められないということです。
離婚による財産分与は離婚後におこなう
不動産売却をして売却額の半分を渡す、妻の持ち分を買取る、財産分与の代わりに持ち分を渡すなど、不動産にかかわる財産分与は離婚後におこないましょう。
離婚後のタイミングならば離婚による財産分与で説明が付くので、贈与税は課税されません。
しかしながら、不動産が共有名義ならば、別の注意点が発生します。
それは、名義人の許可なく売却はできないということです。
夫は不動産売却をして清算したい、妻は離婚後も住み続けたいなど、希望が分かれることもあるでしょう。
共有名義の場合はどちらかの意見を押しとおすことはできず、不動産売却をすすめられません。
離婚による不動産売却では、タイミングだけでなく住宅ローンの状態も注意点のひとつです。
オーバーローンとは?
不動産売却時に住宅ローンが残っている場合は、売却と同時に住宅ローンの残債を完済することが一般的です。
残債より売却金額のほうが大きければ売却金額で住宅ローンを完済し、残った金額を財産分与の対象とします。
一方、売却金額より残債のほうが大きい状態をオーバーローンと言います。
オーバーローン状態の不動産を売却するために不足分を現金で充当した場合は、財産分与の対象にはなりません。
とくに注意しなくてはならないのは、オーバーローン状態かつ残債の不足分を現金で充当できない場合です。
この場合は残債を支払いきれないため、不動産売却そのものができません。
つまり離婚後も住宅ローンの支払いを続けて残債を減らしオーバーローン状態を解消するか、残債の不足分を現金で充当できるまで預貯金を増やさないと不動産売却できないのです。
離婚前の住宅ローンの支払いに問題はなかったとしても、離婚後は慰謝料や養育費の支払いが生じるかもしれません。
そのうえ住宅ローンを負担し続けるとなると、金銭的に余程の余裕がない限りはローンの支払いが苦しくなるでしょう。
オーバーローンでも任意売却を用いて不動産売却が可能なこともある
任意売却とは、金融機関の承諾を得たうえで住宅ローンの支払いが残る不動産を売却する方法です。
離婚時にオーバーローン状態の不動産でも、任意売却であれば売却できます。
しかしながら、任意売却には以下のリスクがあります。
基本的に金融機関は離婚の事情に拘らず、住宅ローンを返してもらうことを第一優先にしています。
そのため「離婚前後で問題なく住宅ローンを支払えているのならば、そのまま支払いを続けてオーバーローンを解消してほしい」と考え、任意売却を承諾しないことがあるのです。
任意売却を進めたいのならば「慰謝料や養育費の負担が大きく、住宅ローンの支払いができなくなった」などの理由が必要です。
住宅ローンの支払いができなくなれば、金融機関が任意売却を認める可能性は高くなります。
しかし任意売却が認められない、任意売却を進めても売却できなかったとなると、競売になってしまいます。
競売は相場価格の5~7割程度での取引となるうえ、売り手の状況は考慮されません。
そのようなリスクを避けるためにも、離婚による不動産売却は慎重に進めましょう。
どのような状態での不動産売却でも、不動産会社と取り交わす媒介契約は重要です。
ここでは、3種類ある媒介契約の内容を解説します。
専属専任媒介契約
専属専任媒介契約は1社の不動産会社にだけ売却を依頼でき、依頼を受けた不動産会社以外は販売活動をおこなえません。
また売買契約の締結時には、専属専任媒介契約を取り交わした不動産会社をとおす必要があります。
不動産会社は専属専任媒介契約を締結後、5日以内にレインズに物件の情報を登録します。
レインズとは、国土交通大臣が指定する不動産流通機構が運営する不動産情報システムです。
レインズに掲載されている物件は日本中の不動産会社で閲覧できるため、広く情報が届くことがメリットです。
専属専任媒介契約を締結した不動産会社は1週間に1度以上、売主に販売状況を報告する義務があります。
専任媒介契約
専任媒介契約も専属専任媒介契約と同様に、1社の不動産会社としか契約できません。
ただし専任媒介契約では、レインズへの登録は契約締結から7日以内、販売状況の報告頻度は2週間に1度以上です。
また売主が自ら買主を探した場合は、不動産会社をとおさず直接契約することもできます。
一般媒介契約
一般媒介契約は複数社の不動産会社と契約でき、販売活動を任せられます。
不動産会社にはレインズへの登録や報告頻度の報告などの義務はないため自由に活動できますが、販売活動をしなくても問題はありません。
一見すると売り手のメリットが少ないように思えますが、事情をあまり広めたくないのであれば、レインズへの登録義務がない一般媒介契約がおすすめです。
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先述したとおり、離婚時の財産分与では家を売却せずに、どちらかが住み続けることも可能です。
ここでは、夫婦のどちらかが家の住み続けることのメリット・デメリットを把握していきましょう。
まずは離婚後も家に住み続ける場合のメリットをみてみましょう。
①新生活にかかる負担が軽減される
離婚に際し転居が伴わないということは、新居探しや引っ越し、家具や家電の購入などにかかる手間や費用がかかりません。
また家賃がかからないことも、経済的なメリットといえるでしょう。
②子どもの生活への影響を抑えられる
子どもがいる夫婦が離婚をした場合には、子どもの生活へ与える影響も考える必要があります。
もし離婚後も家に住み続けるのであれば、子どもの転校や交友関係の変化を避けることができるため、大きなメリットといえるでしょう。
一方で離婚後も家に住み続ける場合、次のようなデメリットがあることも把握しておきましょう。
①突然家を追い出されてしまう可能性がある
もし夫名義の家に妻子で住み続けるのであれば、夫が住宅ローンの返済義務を怠ったり、入院やリストラなどの影響で返済が困難になったりする可能性についても考える必要があるでしょう。
そのようなときに夫と連絡が取れず滞納が続いてしまえば、債権者である金融機関は競売の手続きを開始し、妻子は家を追い出されてしまう可能性があります。
このようにどちらかの名義の家に住み続けるということは、いつまでも元配偶者との関係を断ち切れないというデメリットになるのです。
②家の財産分与ができない可能性がある
離婚に伴って家を離れる場合、新居探しや引っ越しにまとまった資金が必要となり、転校が伴えば生活環境の変化にも適応しなくてはなりません。
しかし家がオーバーローンの状態である場合、財産分与が難しいため、家についての財産を受け取ることができない可能性があります。
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離婚後も家を売却せず、どちらかが住み続ける場合、その状況によって異なる手続きが必要になります。
ここでは代表的な3つのケースをご紹介します。
債務者である夫が住み続けるケースでは、連帯保証人の変更手続きが必要となる可能性があります。
それは、妻が連帯保証人となっている場合です。
夫が住宅ローンを滞納してしまったら、連帯保証人である妻が代わりに返済する必要があります。
このような状況を避けるためには、離婚時には連帯保証人変更の手続きをおこないましょう。
債務者が夫である家に妻が住み続けるケースでは、まず住宅ローンの契約内容の確認が必要です。
住宅ローンはローンの名義人が居住することが原則となっているため、債務者である夫が家をでていくということは契約違反とみなされ、一括返済を求められる可能性があります。
これを避けるには、金融機関へ事情を説明し、承諾を得る必要があるのです。
またもし妻に返済能力があるのであれば、住宅ローンの名義を妻に変更することをおすすめします。
現在契約している住宅ローンのまま名義が変更できない場合は、借り換えを検討すると良いでしょう。
妻名義に変更することができれば、夫との権利関係も清算でき、安心して新生活を送れます。
債務者が共有名義の場合も、夫が家をでていくことで契約違反となる可能性があるため、まずは契約内容の確認をしましょう。
そのうえで、妻の単独名義に変更ができるかどうかの相談をしてみると良いでしょう。
もし借り換えが必要になったとしても、妻単独名義にしておくことができれば将来的にも安心です。
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離婚時の財産分与に伴って家を売却する場合は、売却するタイミングや住宅ローンの残債、不動産会社と結ぶ媒介契約の種類に注意が必要です。
また離婚後も家に住み続けることは、とくに子どものいるケースでは大きなメリットがありますが、突然家に住めなくなる可能性もあります。
そのため権利関係をしっかりと清算しておくなど、事前の対策をしっかりとおこなっておきましょう。
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